ボルガライス&ソースカツ丼情報 - Дон Волга

ソースカツ丼 その縁起と系譜

icon_sause_s福井の「ソースカツ丼」の系譜


ソースによる分類:

●ウスターソース系
各店の「こだわり」かつ「秘伝」のソース(ウスターをベースに各種の香辛料を加えたソース)に、揚げたてのカツをくぐらせ、ご飯の上にのせたシンプルなカツ丼。
福井のソースカツ丼のソース(ウスターソース系)の特徴は、あくまでさらさらであり粘り気がないこと。たとえて言うなら、大阪の串カツの二度付け禁止ソースのようなさらさら感である。特に「パ軒」のソースは、ソースの染みたゴハンだけで何杯も食べられそうな、クセになる味なのだ!!

 ◎ヨーロッパ軒系  上記の伝統を引き継ぐ、まさに本流・正統派のソースカツ丼である。
           なお、「パ軒」グループ店においても、以下のとおり総本店系と敦賀
           「パ軒」系とでは微妙な違いがある。
           また「パ軒」以外にも、特に福井市内にこの系統のお店は多数存在す
           る。ぜひ検証されたい。

   ○福井総本店系 ラード・ヘッドでカラリと揚げられたカツ。一口カツ状であるが極めて
           薄い肉である。
           カツは3枚乗せが基本。ごく細めのパン粉を使用する。強いソース風味
           がくせになる味だ。
           特に総本店では、肉の厚さにコンマ何ミリ単位の厳格なレシピを適用し
           ているようである。
           このことが、多分、ヨーロッパ軒同様ノレン分けで分店をしてきたとこ
           ろで、各店の間に生じがちな「味の違い」を、ヨーロッパ軒グループで

           は防いでいる決め手となっているのではないかと推察する。

   ○敦賀パ軒系  こちらも一口カツ状で薄い肉であるが、総本店系よりはやや厚めだ。
           カツはやはり3枚乗せが基本。こちらもパン粉はごく細め。
           ソースの風味感は、総本店系に比較すればやや控えめといえるかもしれ
           ない。

   ○僭パ軒系   パ軒各店以外で、ほぼパ軒と同様の味を再現しているお店群のソースカ
           ツ丼。
           一説には、パ軒での修行者が、いわゆるノレン分けを受けずに独立開店
           したのでは、ともいわれる。
           ただ、このような「系統名称」については不穏当ともいえるので、検討
           を要すると思われる。 


 ◎くらまん系  薄めで、フタが閉まらないほど大きい肉(わらじ状)。パン粉は「パ軒系」
         とは異なり標準的な粗め。甘口のソース。
         代表店ふたつの名称をとって、こう呼ばれる。
  
   代表店: 「くら」「十阡萬(じゅっせんまん)」
         なお、十阡萬は数店舗でグループを構成している。


 ◎独立系  ウスターソース系で、カツがたまごカツ丼風に切られていたりなど、上記の分類
       にあてはまらないもの。
       各店が工夫をこらしてきた結果なのか、味にも微妙かつ多様なバリエーションが
       存在する。  


●トンカツ用ソース系
トンカツ用のソース(市販のトンカツソースとは限らない)をベースに各店独自に工夫しているソース。トンカツソース、ケチャップ等に由来するやや強い酸味があり、ソース自体に多少の粘り気も残っているタイプ。

基本は、通常サイズのカツに切れ目を入れ、ごはんの上に載せ並べた上から、カツにソースをかける方式。

うどん・そば店(いわゆる大衆食堂)で出されることが多い。福井では「食堂系」とでも言うべきかもしれない。
なお、そば店(準専門店)のセットメニューでは、トンカツ用ソース系からウスターソース系への移行が進んでおり、ほとんどがウスター系になりつつある。
また、福井市周辺ではソースカツ丼の伝統が長いためか、大衆食堂系のお店でも、ほとんどがウスターソース系のようである。

 


だしソース系
福井県東部の奥越地方でよく見かけるのが、だし汁にソースを加えて煮込んで作られたソースを使用したタイプ。

カツをこのソースで煮込んで仕上げ、ご飯の上に載せる。カツの下には煮込みの際の玉ねぎが敷かれることが多い。

冬に寒さが厳しい気候風土が、このような煮込み的な風合いを求めるのかもしれない。

だし汁の水分に負けないようにか、一口カツ状が多いようだ。

玉子カツ丼との中間的なものとも言える、非常に上品な味わいのソースカツ丼である。

 


肉厚、切り方による分類:

この方法による分類ももちろん可能とは思うが、上記ソースの種類により引きずられる傾向が強くみられる。このため、上記のカテゴリ内でのバリエーションと整理すべきものと思われる。


トッピング、バリエーション:

いわゆる駒ヶ根ソースカツ丼風に、ご飯に上にキャベツの千切り、その上に肉という形で出てくるお店がまれにある。(ウスターソース系、トンカツ用ソース系いずれでも)
福井のソースカツ丼はご飯にしみこんだソースの味をも楽しむことが醍醐味なので、どちらかというと邪道とみなされている。

そのほか、チーズ、マヨネーズ、タルタルソースや目玉焼き等トッピングされたものがあり、各店の工夫が感じられる。

また、カツは当然ながら「豚」がベースなのであるが、「パ軒」においても、牛かつ、ミンチかつ、鶏かつ、海老フライといった、豚肉以外の揚げ素材を使用したメニューが存在する。ゆで卵のフライや、野菜揚げなどを加えているお店も存在する。

 

なお、ミンチかつを使用したソースカツ丼は特に「パリ丼」として有名。もともと敦賀ヨーロッパ軒が開発したらしい、現時点での最強スピンオフ。その他、どうやら「エビ丼」や「カキフライ丼」も、ソースカツ丼派生の福井独自の味として認知されつつあるようだ。


低価格店:

ソースカツ丼をワンコイン未満の低価格で提供する、「庶民の味方!!」のお店群がある。
原価などの面から、パ軒等と同等のクオリティーを要求するのは酷であり、一種「別のソースカツ丼」ととらえるべきかもしれない。

  代表店: 「小川家」  ウスターソース系カツ丼を、牛丼屋のようなファーストフード形      式で提供している貴重なチェーン店。
     一口カツ状で薄い肉。固めの衣(低価格を追求した結果か?)。
     カツは「パ軒」同様の3枚乗せを実現している。 



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